2013/05/05

Think about The Knuckle Bowler

今日の早朝2時からの岩隈Iwakumaの試合を見るために昨日の22時から仮眠し時間通り起きて観戦した。トロントTrontoでのブルージェイズBlue Jays戦である。昨シーズンは岩隈のチームメイトであった川崎Kawasakiもスタメンで出場していた。


ブルージェイズのホーム 座席は全てブルー

川崎 今日はチーム唯一の打点を犠牲フライで
正にフライングゲット!


試合とは関係ないが、この機会にと以前から気になっていた球団名のブルージェイBlue Jayについて調べると、アオカケスというカナダ南部に生息する青い羽毛が特徴のスズメ目カラス科の鳥だとわかった。球団のロゴのあの鳥で、野球帽にも刺繍されている。「ジェイ、ジェイjey jey」と鳴くのが英語名の由来とのことだ。


ブルージェイ きれいな鳥ですね


さて、試合は、珍しく四球を三つも出すなど制球がいつもより良くなかった粘投の岩隈を、今日は打線がホームラン三本と援護し、岩隈は3勝目を手にした。7回、川崎に犠牲フライを許し1点を失うが、調子が悪いなりにも大崩れせずに最少失点に抑えられてしまうのは岩隈のすごいところである。とにかく今日は岩隈、めでたしめでたし。ここからは相手投手の話に移ろう。


岩隈 久々に勝ち星が付きました


ブルージェイズの先発はディッキーDickey、初めて見る投手だ。球は速くない、変化球ばかりで打ちやすそう、と思って見ていたら投げているのは全部変化球だと気づいた。じっと見ていたらどうもナックルknuckleballのようだ。投げ方もナックルボウラーknucklebowlerに共通するボールを置きにいくような投げ方をしている。彼はナックルしか投げていない。ナックルは指を折り曲げ(親指以外)指先や第一関節でボールを握って投げる球で、指の関節knuckleを突き出すように投げる。ボールがほとんど回転しないため空気抵抗を受けやすく、予想のつかない変化をするのでバッターはボールをバットの芯で捉えにくい。キャッチャーでも取れないことがあるほど変化するときもある。私も子供の頃ゴムボール野球でよくナックルを投げて遊んでいた。ボールがおもしろいように変化したので楽しかった。


Blue Jaysの先発 R.A.Dickey

ボールが回転していません


ナックルボウラーと言えばメジャーのニークロNiekroという名前を真っ先に思い出す。また、ちょっと前に話題になったエリちゃんもナックルが武器のピッチャーだ。ナックルボウラーにはナックルしか投げない投手もいれば、他の球種も交える投手もいる。ディッキーは前者である。同じ球しか投げないにもかかわらず打者はなかなか打てないのである。しかし、同時に同じ球しか投げていないため上手くミートされると打たれる。パーフェクトに抑えることは難しい。ある程度の確率で打たれるのは覚悟の上投げているのである。とにかくも、「ただ一つの球種で勝負する」とは考えてみると物凄いことだ。「あっぱれ」をあげたい。


最近活躍したナックルボウラー
レッドソックスのウェイクフィールドWakefield
ナックルはこんな握りです


解説者がこの投手のことをサイヤンガーCy Younger(サイヤング賞を獲った投手、日本で言うと沢村賞投手)と紹介していたのでまたまた調べると、昨シーズン、メッツで何と20勝8敗という好成績を収めてサイヤング賞を受賞していた。プロ入り17年目で、メジャーとマイナーを行ったり来たりしていたピッチャーが大ブレークした訳だ。

ナックルボウラーはあまりコースを狙って投げたりせず、真ん中を狙って大まかに投げているようだ。真ん中に投げてもボールは右へ左へ、そしてスッとバットをかわして下へと、投げている本人にも予期できない変化をするのである。つまり本人にも打たれるか抑えられるかは分からない。また、ナックルの握りでボールを投げてみれば分かると思うが、ボールをコントロールするのが非常に難しい。今日のディッキーは突然ストライクが入らなくなりフォアボールを連発した後、癖玉を上手く捉えられ満塁ホームランを打たれてしまった。こんな日もある。


ボールを良く見ている watching well

当たる瞬間もしっかり見ている still watching

スタンドに入るところまでしっかり確認 さすがだ
watching until it's gone


まさに風任せのナックルではあるが、何試合も何十試合も何年も投げ続けると統計ができる。どれだけ勝ってどれだけ負けたのかという確率が分かるのである。それをもとにして今後の星勘定のある程度の予測ができるわけだ。今日は打たれる日だったのだ。打たれるか抑えられるか分からないナックルボール。結果がどうであろうと、とにかく投げてみなければ何も始まらない。なにか人生と同じようだ。


試合途中のバーガーキングのCM 日本でも発売してくれ



P.S

一つの球種で粘り強く戦う

ナックルボウラー

どことなく卓球のカットマンに似ている


Knuckle Bowlers are like Cutmen of table tennis in some way