Hotdog stand
Dodger Dog
試合が始まった時はまだ空席が多かったが、時間が経って気づくと観客も結構増えていた。相手チームはどこだったか忘れたけれど、その日は激しい打撃戦で、途中からはホームランが多数飛び交う大味な試合になった。アメリカ人は家族連れが多いようだ。子供達をボールパークに連れて来て家族みんなでベースボール観戦を楽しんでいる。本当に心から楽しんでいるのが自然と伝わる。日本のように、耳障りな管楽器・打楽器の音や応援歌の合唱、目障りな旗振りやタオルくるくる回しなどは一切ない。盛り上がるべき時には自然と球場中に大歓声が轟く。球場の雰囲気がとってもいい。私は日本のプロ野球の五月蠅い応援にうんざりし、ある時からほとんど球場に足を運ばなくなった。アメリカ人はスタジアムの雰囲気を楽しみに来ている感じだ。もちろん自分のお目当ての選手が活躍したり、贔屓にしているチームが勝てば気持ちがいいが、そうでなくとも誰もが十分にエンジョイしているように見えた。そして日本と違うのは、ある時間になると試合途中でも球場を後にして帰宅の途につく家族が多いことだ。おそらく子供達に配慮してのことだろう。その日は、僕たち日本人留学生一行も、大リーグ観戦を十分に楽しみ、ゲームセットを待たずに大学に戻った。
Dodger Stadium 2008
さて、その日はホームランがバカスカ出すぎて緊張感のない試合ではあったが、ある選手がバッターボックスに立つと毎回ひと際大きな歓声が湧きあがっていた。その選手は、後から知ったが、ドジャースのルーキーで四番打者のキャッチャー、マイク・ピアザMike Piazzaだった。とにかく物凄い人気で、その日もホームランを打って活躍していた。野茂英雄Hideo Nomo投手がドジャースに入団し、ピアザとバッテリーを組み大活躍するのはこの2年後のことである。
3年前、15年ぶりにドジャースタジアムを訪れた。話しかけてきた中年のアメリカ人は野茂のことをよく覚えていて懐かしそうに話していた。一緒にいたティーンエイジャーの少年は既にその名を知らない世代だった。つづく