昼の花火はパステルカラーだった。まあきれいだけど、やっぱり普通花火は夜でしょう。
神社の境内では昼過ぎから相撲が始まった。大相撲は生で見たことはないし、奉納相撲を見るのも初めてだった。下は中学生から上はおそらく60代くらいのおじいちゃんまで参加していた。取り組みの前には、参加者の苗字と出身地、実績があればそれも紹介されていた。地元新潟出身の方がほとんどで、中には国体の代表選手だった人も数人いた。参加者の中に青いまわしを付けた立派な体格の若者が大勢いて目を惹いた。新潟海洋高校相撲部とアナウンスされた。聞き覚えのある学校名だった。たまたまテレビで見た相撲のインターハイに出ていた学校、としばらくたって気が付いた。かなりの強豪校だ。皆見るからに逞しい。この新潟海洋高校、またまたたまたま昨日もテレビで特集をやっているのを目にしたのは近々何か素敵なことが起こる前兆と考えよう。
トーナメントの前に、稽古としての取り組みや、三人抜き五人抜きなどが時間をかけて行われた。屋台にお好み焼きを買いに行く時間も惜しいと思うほど、初めて間近で見る真剣な心と体のぶつかり合いに、私の目は正に釘付けになった。ごまかしのきかない力と力のぶつかり合い。今目の前で行われている相撲を表現するのピッタリな言葉をたくさん探したい気持ちになった。真剣、素朴、純粋、簡潔、豪快、我慢、華麗、潔い、爽やか、大らか、そして相手に対する尊敬。素敵な言葉が次々と浮かんできた。まだまだ出てきそうだ。素晴らしい相撲を見せて下さった方々に感謝します。
見ているこちらも思わず力が入る
トーナメントで上位3位が決まり、いよいよ三つ巴の決戦。タナカが勝てば優勝の一番。相手は海洋高校のムラマツ。インターハイ3位の貫禄がある。
野次が飛ぶ。
緊張の立ち合い。タナカが左に身をかわす。ムラマツ意表を突かれ少しバランスを崩すが、すぐさま立て直しタナカに向かって突進。ここで勝負は決まった。
「だーから逃げるなってったじゃねぇか。」
嫌みのない叱咤だ。観衆のやじはストレートだが温かい。
「すみません。負けちゃいましたー。」
タナカはその日の奉納相撲をコミカルな立ち振る舞いで(悪ふざけではない)大いに盛り上げていた。楽しくて頼もしい若者だ。相撲の実力もかなりのものだ、と素人でも分かる。見ていた誰もがその名前を覚えて帰ったに違いない。トーナメントの結果は、ムラマツ優勝、タナカ準優勝だった。
力士も観衆も一体となった奉納相撲。土俵の周りはのどかで心地よく、始終とても善良な雰囲気に包まれていた。おかげで蒸し暑さや旅の疲れも吹き飛んだ気がした。思わず貴いものを見ることができて非常にラッキーだった。早く来て大正解。さあ、お目当ての花火大会の開始時刻も近づいて来たかな~って、7時半まであと5時間もあるの?
You are the Hero of the Day
Winner, a high school student