2011/03/08

モロンという街

モロン・デ・ラ・フロンテーラはスペイン南部、アンダルシアのセビージャ県に属する市である。セビージャからバスに乗り1時間15分くらいで着く。途中ハイウェイも長い時間走るので、東名高速なら東京から御殿場の手前くらい(わかって頂けるでしょうか?)の距離だろうか。そう考えると結構遠い。ここはアンダルシアのなだらかな丘陵地帯の入り口に位置している。気候は日本よりも暖かく、夏は暑い。最も暑い時は気温が45℃くらいまで上がる。人口は3万人弱、「のどかな田舎町」と言ってしまえば簡単だが、街を歩いているとその表現もピッタリは当てはまらないように感じる。それほど「田舎」でもないし、若者や子供も多く、派手ではないが結構活気もある。一見するとこれという特色や見どころのない平凡な住宅地、セビージャ近郊の小ぎれいで静かな小さめの小都市、といったところだろうか。


ピソ(アパート)から見たモロン城

Paseo del Gallo

El Gallo de Morón


見どころとして、イスラム時代のお城Castillo de Morónの跡や伝説の鶏El Gallo de Morónの銅像のある見晴らしのいい公園Paseo del Galloなどがある。が、ここモロンは観光地ではない。これは明らかだ。なぜかというと…絵はがきが売っていない。少なくとも私は見たことがない。(モロン市役所の方へ。もしあったらゴメンナサイ。)土産物屋も無い。が、しかし、観光地でないにもかかわらず目抜き通りにはちゃんと観光案内所がある。観光客は多く見積もってもせいぜい一日一人であろう。(言い切るのもなんですが本当にそんな感じ。)お客が少ないからか観光案内所に行くと、いつもお姉さんが丁寧に対応してくれる。鉄道も通らない、観光地でもない、また他の観光地への経由地でもないこの街にわざわざ遠くからやってくる人は少なく、そのような人々の目的の多くはこの地のフラメンコである。


Paseo del Galloから見た街並み

ピソから見た街並み


現地に在住のTさんによれば、モロンは陸の孤島「ガラパゴス」、だそうだ。そうかも知れない。モロンの人(モロネーというらしい、ちょっとだけかっこいい。)はモロンが大好きだ。ここで生まれて育ち死ぬまで離れない人も多いという。生活はすべて地元で事足りてしまうので、セビージャにさえめったに行かないらしい。私も一ヶ月住んでみて、とても居心地が良かった。静かで安全でのんびりしていて物価も安い。住民はお互いに顔見知りな場合が多く、都会のようにギスギスした雰囲気はない。きっと長く住めば「おらが街」と自慢したくなる、そんな街である。

Calle Fernando Villalon

モロン市役所


そして…ここがその陸の孤島(のようなところ)であるが故に、幸いにも昔ながらの、ちょっと言葉は悪いが「土臭い」そして味のあるフラメンコが、あまり流行に左右されることなくしっかりと現在に受け継がれているのかもしれない。つづく


深夜の目抜き通り Calle Pozo Nuevo