2011/03/09

私とフラメンコギター

8年ほど前にクラシックギターを習い始めた。が、毎日仕事で疲れて帰宅した後、根気のいるギターの練習を自発的にすることは、怠け者の私にあまり期待できることではなかった。週に一回、3,4年習ったが練習しなかったので当然あまり上達しなかったが、「ギターをうまく弾けるようになりたい。」という気持ちだけは持っていた。(気持ちだけじゃだめだよね。とにかく何でも練習しなきゃ。)面倒だ→練習しない→うまく弾けない→やる気が起きない、という悪循環。弾けるようになりたい→辛抱して練習→ちょっと弾けるようになる→もっと上手くなりたいのでまた頑張る、としたいものだ。

その後、ネットで偶然フラメンコギターの演奏を見て聴いた。はじめは、クラシックギターに比べて汚い音(失礼!)だと思ったが、徐々に聴いて行くうちにその音も気に入るようになった。たまたま近所に教室があったので通い始めた。先生は厳しくまた熱心に教えてくれた。初めて習うラスゲアードはクラシックギターにはない指の動き、私の指は慣れない動きを求められ力が入らない。親指やアルベジオも強いタッチが必要である。「こんなことできるようになるのかな?」練習曲をいくつか終えた後、大曲へ。それはサビーカスSabicasのブレリアBuleria。楽譜をもらい少しづつ練習した。しばらくしたある日、その曲を初めて聴いた。感想→「これって無理でしょー。」Youtubeで本人の演奏を見た→「こういう曲だったの?」愕然とした。速い!ウマい!(易くはない。)途中まで覚えたが、自分のやりたい曲とは違うので何かあまりやる気が起きなかった。先生はディエゴDiego del Gastorの曲は教えていなかったのだ。(今考えると当たり前で、ディエゴのギターをちゃんと教えられる人は世界でも限られている。)結局その曲が完成しないうちにその教室はやめてしまった。

悲しいかなディエゴのギターはCDとして入手できる音源が少なく、彼の音楽は広く世に知れ渡ってはいない。ディエギートも同じである。一般的な、あるいは流行のフラメンコギターとはちょっと違い、好き嫌いが分かれるアーティストであるのも確かである。私は、例えば彼らの、魂のこもったソレアやのどかな田園風景を想わせる軽快なブレリアが大好きである。つづく



Diego del Gastor