2011/09/04

Bought a ticket to the West Coast 3

大学の時に選択科目でアラビア語をとった。あまり人がやってそうにない外国語を勉強してみたかったからだ。しかし、あの独特な文字に親しみを覚える前に授業に行くことを放棄してしまった。挫折した理由は、私がそのとき未だ、それまでに学んだことのあるものとかなり異なった外国語をスムーズに学べる時期に達していなかった(成熟していなかった)から、だと推測できる。(オマエ、その前に他の授業もあまり出席してなかったし、2年目にはほとんど授業に出てなかっただろーが)。簡単な挨拶だけは今でも覚えている。「サバーヒルヘイル」=こんにちは、「ショクラン」=ありがとう

ある日、語学学校の午前の授業を終えて食堂に行くと、アラブ系の顔立ちの男子留学生が近くに何人かいて目が合った。年齢は二十歳くらいか。

「どこから来たのですか?」
「日本ですよ。あなたたちは?」

一人が中東の国の名前を答えた。それがどの国だったか今は覚えていない。ここは知っているアラビア語を使う場面である。日本人がアラビア語?彼らはどう思うだろうか。

「サバーヒルヘイル!」

「驚き」と同時に「親しみを込めた眼差し・笑顔」を高確率で期待した。「驚き」は当たっていたが、その眼差しは警戒心を帯びており、笑いは引き攣ったものだった。

別の日、大学の近くにあるファミリーレストランに彼らがいた。いつも3、4人一緒に行動している。彼らが他の国の留学生と談笑している姿を見かけたことはない。仲間同士の会話の声は小さめで、おしゃべりを楽しむ若者グループには見えなかった。私たちは笑顔で挨拶を交わしたが、お互い打ち解けることはなく、その後顔を合わせる機会もあまりなかったように記憶する。

2002年、前年にあった同時多発テロの実行犯に関するニュースが目に留まった。実行犯は、「アメリカ西海岸の語学学校で英語を学び、その後同じく西海岸にあるパイロット養成学校に通って航空機の操縦技術を学んだ」という。まさか彼らの中の誰かが…などということはあるまい。つづく